ショートムービー「彼方に」悲しみと向き合うたった18分の世界に涙が止まらない…

ショートムービー「彼方に」悲しみと向き合うたった18分の世界に涙が止まらない…

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これでもかと詰め込まれた、愛と衝撃と悲しみ……。ストーリーを理解していく度、溢れてくる涙を堪えることができますか?

Netflixには映画や長編ドラマの名作がたくさんありますよね。
実は、ショートムービーの名作もあるのを知っていますか?
 Netflix映画「彼方に(原題:The After)」はそんなショートムービー作品のひとつ。なんと、18分間で完結!

映画作品の多くは1時間くらいから長くても2時間半ほどです。それが、18分という短さにどう収められているのでしょうか?

「彼方に」はどんなストーリーなのか追いながら、考察してみましょう。

衝撃の冒頭3分半

衝撃の冒頭3分半

主人公のダヨは、重役を務めている会社員です。家族と過ごしている時間にも仕事の電話が絶え間なくかかってくるほど。彼は、どんなに忙しくても家族との時間を作ろうとする家族想いの優しい性格。娘のローラが何週間もかけて練習したバレエの発表会を見に行くため、会議のスケジュール調整を同僚に相談することも。

ある日、ビルの階段下に小走りで降りたローラ。ダヨを「一緒に踊ろう」と誘います。バレエの踊りをお手本代わりに見せてくれ、ダヨもにっこり。
誰もがこの家族愛にほっこり心温まる瞬間でしょう。

もっと娘と過ごしていたい……。
しかし、多忙なダヨはもう仕事に戻る時間です。ダヨはローラと手をつなぎながら「もう行かないと……」と名残惜しそうにゆっくりと歩きます。
2人の前を、高速のロードバイクが横切りました。このとき幸い2人にけがはありませんでした。
しかし、もう1歩遅かったら、ローラが1人だったら……。
大事故に繋がっていたかもしれません。

娘になにかあったら……。
仕事よりも娘の成長を見守る時間をとらなくては……。
一瞬見せるダヨの表情からは、子を持つ親であれば誰しも考える事が頭に浮かんでいるように感じました。
ダヨを演じたデヴィッド・オイェロウォ氏が魅せる絶妙な演技力に注目!

ビルの上にいた妻のアマンダが2人を呼びます。ローラが駆け寄り、ダヨが発表会に来てくれることを嬉しそうに話しました。アマンダは驚き、「本当に?」と確認します。多忙で、なかなか見に行ってあげられなかったのかもしれませんね。

2人を抱きしめて、アマンダに「素敵だ。」と褒めながらキスをするダヨ。家族を大切に想い、深く愛しているのでしょう。

この映画を最後まで見たあとは、ここまででストーリーが終わってほしいと思うポイントです。
ここからの衝撃的な展開は、正直信じたくありません……。
家族で過ごす幸せなシーンは2分ほどにまとめられています。あっという間ですが、体感ではゆっくり進んでいる気がしてしまうのがこの作品の不思議なところ。


このあとたった1分半で起こるのは、突然の家族の喪失。
一瞬の出来事でした。
ダヨは犯人を取り押さえることに成功しますが、もうその時はすでに取り返しのつかない状況……。

この作品の中で1番衝撃的なシーン。
ぜひ本編で見届けてください。

すべてを失い虚無の毎日

すべてを失い虚無の毎日

一瞬にして独りになってしまったダヨ。バリバリ働いていた会社を辞めてしまいます。家族を目の前で失う悲しみは、同じ経験をした人にしかわからないのでしょう。
ダヨの携帯には同僚のジェームズから心配の留守番電話が入ります。区の危機管理課からは、ダヨの自宅訪問をしても何度も不在のために留守番電話が入りました。しかし、ダヨはどちらにも折り返しの電話をする気力すら起こりません。

妻アマンダが生きていた時に残してくれた唯一の留守番電話。それを聞いてなんともいえない表情で、ぼうっと車の中で過ごしているシーンはかなり切ないです。

もし、会社を辞めていなければ、仕事をしている間だけでも少しは悲しみを忘れられる時間があったかもしれません。しかし、今まで家族のために頑張って働いていたのだとしたら、仕事をしている方が辛くなってしまうのでしょうか。

それでも生きていくと決めたのなら、働かなければなりません。彼が新たに選んだ仕事は、ライドシェアサービスのドライバーでした。

日本ではあまり馴染みのない職業ですが、2024年に条件付きで解禁された職業なのだとか!

ライドシェアとは簡単に言えば一般人が行うタクシーのこと。通常のタクシーは専用の車を使い二種免許を持っている者が運転を行います。ライドシェアの場合は普通自動車運転免許を取得して1年以上が経過していれば、他に特別な資格は必要ないのだそう。タクシーが足りない場所や時間帯に稼働でき、ある程度自由に働きたい人にはぴったりの仕事かもしれません。

ダヨは自分のペースでできる仕事を選んだことで、人生に思いを馳せる時間を設けたようです。家族を失った自分の心と向き合うには、忙しく時間に追われるよりもゆっくり時間が取れる方が向いているのかもしれませんね。

ライドシェアサービスを利用する客はさまざま。
息子の自慢をしてくる父親、仲睦まじいカップル、到着まで仮眠を取る人……。それぞれの人生の様子を見守りながら、ダヨは黙々と運転を続けます。
ダヨと同じように、何らかの理由で家族を失ったのであろう会話をする人もいて、悲しみが溢れてきてしまう日もありました。

普段利用しているタクシーのドライバーさんも色々なことを抱えながら運転しているのかな?とこれから乗る時気になってしまうかも。

あるきっかけで悲しみが押し寄せる

あるきっかけで悲しみが押し寄せる

ある家族を乗せた時に、ダヨの抑えていた感情が爆発してしまいます。
ローラが生きていたら同じ年くらいの女の子と両親。しかし、様子はダヨたちとは少し違いました。

母親と父親が喧嘩をしていて、その間に座る娘がなんだか悲しそう。ダヨのセリフはなく、(もしも自分だったら、娘にあんな表情をさせることなんてないのに……。)という心境が表情から読み取れます。
彼は、鏡越しに心配そうに見つめることしかできませんでした。

ここから、彼の心にとどめを刺し、抑えていた悲しみが溢れてしまう出来事が起こります。

何が起きてしまうのか、是非本編をラストまで観て、確かめてください。

まとめ

これが本当に18分なのかと思うほど作り込まれている短編映画「彼方に」。
初めて観た時は、次々起きる衝撃が大きすぎて感情が追いつきませんでした。登場人物の感情や背景を見直すため、2回目を観てみるとダヨの深い心理描写がより鮮明に見えてきて気がつけば開始早々からエンドロールまで目に涙が……。

短い時間でサクッと映画1本を楽しみたい人にもおすすめですが、いろんな考察をしながら観たい人にもぜひおすすめしたい作品。

ダヨの心理が心に刺さり、何周見ても飽きない「彼方へ」ご覧になってみてはいかがでしょうか。

Netflix映画「彼方へ」独占配信中

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