詐欺師の巧妙なテクニックに戦慄！「地面師たち」の大胆な取引と心理戦から目が離せない

2017年に東京都品川区で実際に起きた詐欺事件をモデルにした新庄耕の小説「地面師たち」。著者は実際に地面師との取引を経験した人物をはじめ、不動産ファンド、司法書士などに取材しているため、非常にリアルで緊迫感溢れるストーリーが展開されます。
この原作の持つ雰囲気を余すことなく盛り込み、配信開始から話題となった、Netflixシリーズで独占配信中のクライムサスペンス「地面師たち」の魅力に迫りましょう。

あらすじ

真面目な性格とトラブルが発生しても冷静な対応で仕事を成功に導く辻本拓海は、ハリソン山中がリーダーを務める不動産詐欺師グループで交渉役を担当しています。
彼らはそれぞれの専門分野に分かれ、計画を成功させるために綿密な準備を行い、巧妙なテクニックで相手を安心させお金をだまし取っていく、地面師と呼ばれる集団です。
10億円の仕事を終えたハリソン山中は、グループメンバーとの食事の席で、次に狙うのは誰もが怖気づいて二の足を踏むような、過去最大である100億円の不動産だと告げるのでした。

ターゲットとなったのは、開発の進む高輪ゲートウェイ駅周辺。絶対に売らないと豪語している地主の所有する土地を巡り、不動産会社との駆け引き、そして彼らの動きを探っている警察の捜査が絡み合っていきます。

一筋縄ではいかないこの大勝負。果たして地面師たちの100億円詐欺は成功するのでしょうか。ドラマの結末へ向け、辻本拓海がなぜ地面師となったのかといった過去も明かされていき、怒涛の展開を迎えるクライマックスへ進んでいくのです。

地面師とは？

地面師とは、他人の土地や建物の所有者を装い、偽造書類を使って第三者に売却をするという詐欺師のこと。特に管理が行き届いていない土地などが狙われやすく、偽造される書類や所有者に成りすました人物を用立てるといった周到な準備のうえ行われます。
実際に被害に遭ったケースは少なくないといわれ、原作のモデルとなった事件や、有名ホテルが約12億円をだまし取られた2013年の事件はニュースにもなりました。

不動産売買に精通しているはずの大手企業を信用させるテクニックや、徹底した売り主確認をしているはずなのに、偽物と見抜けない狡猾さに驚くことでしょう。

細分化された地面師たちの役割

地面師という一般には聞きなれない集団は、どのように犯行を行っているのでしょうか？

ドラマに登場するグループでは、土地や想定取引価格を調べる図面師と呼ばれる情報屋によって、詐欺の対象となる候補地選びがスタート。ここで所有者についても伝えられ、土地の管理状況なども選定材料として加味されます。
次に交渉役が該当する土地の売却情報が出ていると不動産業者にウソの情報を流布し、購入希望者が現れたところで、法律を担当するの法律屋が交渉を開始。

これと並行して動き始めるのが、なりすましをする人を見つけ出し、彼らに本人を演じるアドバイスをする手配師。所有者に風貌の似ている人、演技力の確かな人など、複数の候補からなりすまし役を選び、氏名や生年月日、住所、十二支、近所のスーパー名などを教え込んでいきます。

続いてニンベン師という偽造書類作成者が、さまざまな書類や実印の偽造に着手。現在は免許証やパスポートにICチップが埋め込まれ、その情報を読み取ることで真偽を判断しますが、彼らはICチップに書き込まれているデータすらも偽造してしまうのです。

最終的に、交渉役と法律屋、売主に扮した人を交えて売買契約へ臨みます。しかし、なりすまし役はあくまで一般人。想定していない質問が飛んできてもパニックならず、いかに機転を利かしてその難局をすり抜けることができるかが、成否のカギを握っているといえるでしょう。

地面師たちがいかに信用させるかが見どころ

不動産売買は巨額のお金の動く取引ですから、不動産業者による土地の確認や所有者の本人確認、そして印鑑証明に登記簿といった必要書類が偽造ではないかの確認も行っているはず。それにもかかわらず、なぜだまされてしまうのでしょうか？
そこには、買い手の心理を利用した地面師たちの巧妙な手口が存在するのです。

例えば廃墟になっている土地の売買では、あらかじめ本物の錠を壊し、古びた加工を施したものに変更。後日買い手が来たときは手持ちの鍵で開け、正規の管理者であるように装います。
また、所有者の機嫌を損ねることを恐れる相手の心理を利用し、自分たちにとって有利な条件を飲ませるなど、話術も駆使して交渉を有利に運ぶしたたかさには驚くばかり。

不動産業者も詐欺の可能性を懸念し、見逃しがないか入念なチェックを入れます。同様に、地面師側もこれでもかという程の準備をしていますが、人と人が関わる取引では何が起こるかわかりません。
この行き詰るような駆け引きは、本作「地面師たち」の見せ場のひとつ。手に汗握る緊張感と交渉の行方をぜひお楽しみください。

「地面師たち」その豪華な俳優陣

「地面師たち」は、そうそうたる出演者たちの共演でも話題となりました。

鋭利な刃物のような鋭さと残虐さを併せ持つリーダー・ハリソン山中を豊川悦司、ハリソン山中が地面師として一から育て上げ、唯一信用している交渉役の辻本拓海を綾野剛が演じます。また、グループの情報屋を北村一輝、手配師に小池栄子、法律屋にピエール瀧、ニンベン師が染谷将太という個性的なキャストをそろえました。

彼ら地面師のターゲットとなる石洋ハウスの幹部を山本耕史、長年ハリソン山中を調べている定年間近のベテラン刑事にリリー・フランキーを起用。だます者、だまされる者、追う者という構図が入り乱れ、物語にスリリングな緊張感と不測の事態を巻き起こしていきます。

中でも豊川悦司のハリソン山中は、冒頭から強烈な印象を刻み込んでくるでしょう。誰に対しても敬語で話し、優雅な立ち居振る舞いは紳士然としていますが、回を追うごとにその凶暴さが顕在化していき、残虐さが際立っていくのは必見です。

まとめ

地面師たちの入念な下準備とだましのテクニック、大手不動産業者である石洋ハウスがだまされていく様子、そして小さな手掛かりから地面師を追い詰めていく捜査活動が三つ巴の展開となり、物語の進展に釘付けとなるでしょう。

「地面師たち」は1話平均50分ほどで全7エピソードのため、1日で一気見してしまうことも可能です。
ひと癖もふた癖もある、巧妙な策で大金を狙う地面師たち。強烈なインパクトを与える彼らのハラハラする計画、新たな犯行を阻止しようと迫る刑事たち、そして急展開する衝撃の結末をお見逃しなく！

Netflixシリーズ「地面師たち」独占配信中